ご挨拶
第49回日本眼科手術学会総会の総会長を務めさせていただきます宮田眼科病院の宮田和典です。
今回のテーマは、科学に裏付けられた技術、patient based medicineとさせていただきました。私は一介の開業医ではありますが、開業以来28年間、身の丈に合った、患者によりそった臨床研究を続けてまいりました。それは、私が東京大学眼科に在局時代、私の恩師の故三島済一にいただいた「医師の研究の目的は常に患者に帰結しなければならない」という訓戒を常に心に留めているからです。
医師が患者に対する治療法を選択する際の基本中の基本は、EBM(evidence based medicine)です。もちろん、いろいろな経験により獲得された新しい技術、治療方法で従来のEBMを越えた治療効果を得ることも多いでしょうし、また、それが医療の進歩を促していることも事実です。しかし、その新しい技術には、理論的な、また臨床研究等による科学的裏付けが必須です。日本の医師は患者の治療に対して裁量権を持ちます。医師の裁量権とは、医師が患者のために最も有効だと判断した医療行為を実施できる権利です。であるからこそ、医師は自分が選択する新しい技術に関しては、そこに科学的裏付けがあることを確認して行うことが求められるのです。科学的裏付けの無い技術は、時として患者を大きく傷つける可能性があります。日本眼科手術学会は、分野横断的に新しい技術の知識を得られる多くの方が参加する有意義な学会です。だからこそ、そこで得られる新しい技術の知識には科学的裏付けが必須なのです。
patient based medicineは、私の臨床、研究の基本的考え方です。東京で眼科修行を行い、南九州で開業医となったときに感じた東京と南九州の患者の特徴の違いから始まった一連の臨床研究のテーマです。「医師の研究の目的は常に患者に帰結しなければならない」との故三島教授の言葉から、目の前の患者をどう治療していくか考えた時に、これまでのEBMに不足した部分を補完する臨床研究という科学に裏付けられた技術が必要でした。そのEBM+自分の研究による科学に裏付けられた技術がpatient based medicineと考えています。
科学に裏付けられた技術、patient based medicine、実は、どんな術者も持っている基本的な考え方と思います。患者を診て、どうにか治療したいという思い、情熱が詰まった学会が、日本眼科手術学会です。学会は学会員のために、つまりは学会員の患者のためにあります。ぜひ、多くの先生方にご参加いただき、活発な討論を行っていただき、明日の患者の治療に役立つ有意義な知見を得ていただきたく存じます。
最後に、本会の開催にあたり、ご協力いただいた多くの会員の先生方、本学会の理事、プログラム委員会の先生方、事務局、無理をきいていただいた眼科医療産業界、運営会社の皆様に深く御礼申し上げます。
第49回日本眼科手術学会学術総会 総会長
宮田眼科病院
宮田 和典