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ご 挨 拶

絆と継承

私が眼科医になりたての頃、助手用顕微鏡から見えていた簡単そうな手術が、いざとなると自分にはできなくて患者さんに迷惑をかけたことがありました。それ以来手術を極めたいと決心し、日本眼科手術学会は私にとっての最高の学びの場であり、それに参加することは私にとって最大の喜びになりました。多くの先輩方の熱のこもった発表や激しい論戦を目の当たりにし、それらの先輩に憧れ、いつか自分もそうなりたいとその先輩方を目標に自身を奮い立たせ、手術技量の向上に努めてきました。

海外留学を契機に世界的に著名な眼科医の手術を何度も見学しましたが、その度に日本人眼科医の手術技量は世界トップレベルと強く感じるようになりました。これは、日本人がもともと器用であるということも要因のひとつかもしれませんが、日本眼科手術学会のような手術知識だけでなく、技量も学ぶことができる臨床に沿った素晴らしい学会があったことも大きな要因だと強く感じます。

日本眼科手術学会は、1970年に永田誠先生はじめ他先生方の呼びかけで始まった眼科顕微鏡手術の会を前身とし、14回の会が開催されましたが、それを加えると59回もの会が開催されている歴史のある学会です(参照:https://www.jsos.jp/about/history)。
医師をはじめ、看護師、視能訓練士、企業関係者など多くの医療従事者の強い絆によって支えられたこの伝統ある学会の学術総会において、総会長を務めさせて頂くことは何事にも代えがたい喜びであります。私が勤務するJCHO中京病院からほど近い熱田神宮には、日本の歴代天皇が継承してきた三種の神器の一つである草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)があります。三種の神器が伝世されているように、日本眼科手術学会で築かれた眼科医療における強い絆を未来の関係者すべての方々のために継承させることが、この学会で本当に多くのことを学ばせて頂いている私の務めと思っています。

第45回日本眼科手術学会学術総会
総会長 加賀 達志
独立行政法人地域医療機能推進機構 中京病院