理事長挨拶

日本眼科手術学会は1970年に発足した「眼科顕微鏡手術の会」に端を発します。1970年といえば大阪で万国博覧会が開催され、躍動感あふれる時代でした。そんな中、眼科が他の分野に先駆け手術顕微鏡を導入し、安全で普遍的な手術を目指してきました。1978年には日本眼科手術学会が立ち上がり、2014年には公益財団法人となり日本人の眼の健康に寄与してまいりました。最初の手術顕微鏡の使用は、白内障、緑内障分野が主であったと思いますが、その後眼科手術のほぼ全ての分野で使用され、手術成績が向上してきています。

近年眼科では専門性が高くなり、様々なサブスペシャリティー分野があります。一部には眼科の分野別の学会があれば十分で、分野を横断する形の眼科手術学会は必要ないという方もいらっしゃいますが、決してそんなことはありません。糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症などの眼底疾患から緑内障を発症し、網膜・緑内障両分野に関係することもあれば、黄斑上膜の手術では白内障手術とのトリプル手術がほとんどで、近年では屈折矯正手術としての認識も必要です。最近ではこのような分野横断型の内容を意識したシンポジウムやインストラクションコースも数多く開催されています。さらに本学会は「眼科顕微鏡手術の会」発足(運営規約が詳細に決められた最初の世話人は大学教授2名、病院勤務1名、開業3名)以来、アカデミア・病院・開業医の先生が一緒に作り上げてきた稀有な学会で、この流れをたやさぬよう進めていきたいと考えています。

おかげさまで近年の本学会は、学術総会への参加人数も徐々に増え、雑誌「眼科手術」への寄稿も増加傾向にありますので、今後ますます他学会とも連携を強めていきたいと考えています。そのためには学会の役員はもとより会員の皆様方にもご協力いただき、ますます日本眼科手術学会を活性化していくことが肝要です。

公益社団法人 日本眼科手術学会
理事長  北岡 隆