白内障/屈折矯正部門
【目的】無水晶体眼において、ハプティクスを毛様溝に留置するだけで毛様溝への縫着を要しない3つのハプティクスを持つ新しい眼内レンズ(IOL)を開発した。豚眼で、このIOLのハプティクスを毛様溝に固定する手技を供覧する。また、耳鼻科用剛性内視鏡を用いた新しい三宅ビューにより、IOLの安定性を眼底から検証する。
【対象と方法】Endoscopeを用いて、人眼の毛様溝はハプティクスを固定するのに十分な溝を持つことを検証する。豚眼を用いて、新しく開発したHaptics Manipulator(HM)を用いて3つのハプティクスの固定方法を供覧する。IOLの安定性を検証するために、IOLの光学部をフックで押し、眼外からハプティクスの毛様溝固定部位の強膜を圧迫してみる。さらに、IOLを固定した豚眼を高さ30cmから落としてみる。
【結果】人眼の毛様溝は、ハプティクスを固定するのに十分な溝を持つ。このIOLを挿入固定するのに必要な切開創は、4.1mmの角膜切開創と2つのサイドポートだけである。HMを用いれば、3つのハプティクスは確実に毛様溝に固定できた。光学部や強膜を圧迫しても、ハプティクスは毛様溝に確実に固定されていた。IOLを固定した豚眼を落としても、IOLは偏位脱落することなく、安定していた。
【結論】ハプティクスを毛様溝に3点固定すれば、無縫合でもIOLは眼内で安定し衝撃にも強い。3個の角膜切開創以外切開縫合を必要としないので、侵襲も著しく少なく、このIOLは有用である。
杉浦 毅
杉浦眼科